熱い。身体が、喉が、胸が、肺が、胃が、腸が、アヌスが熱い。
灼けて灰になることができない僕は、ただ燃え続ける。
いつか償いを終えて灰になり、天使になる日を願い続けて。
熱い。熱い。大きく膨らんだ陰茎が僕の思考を妨害する。僕はこれから勉強をしないといけないというのに、下腹部からの淫猥なジャミング攻撃によって頭の中の細胞が逆さに振動し、下衆な信号を発信する。
オカセ。アノ女ヲ、オカセ。
あの女とは、僕の姉。鳴子のことだ。
平凡な両親の生まれでありながら才能に恵まれ一流大学を卒業。その後、若くして政界に進出し、今では地元の有名人だ。それに引き換え、僕はすべての才能を姉に奪われた哀れな弟だ。たぶん、本来生まれる筈ではなかったから姉にすべてを譲ってしまったのだろう。容姿も頭脳も姉とは比べ物にならない。家族からは腫れ物扱いをされているが、生活の面倒はみてくれる。
生きるのに不自由はない暮らしだが、この環境に甘んじて劣等感を燻らせて生きるような僕ではない。僕には夢がある。それは姉と同じ大学に入学して両親を驚かせることだ。そうすれば、両親の僕への態度は一変するだろう。絶対に喜んでくれる。
そのためには、そのためには僕は勉強をしなければいけない。いけないのだ。
オカセ。アノ女ヲ、オカセ。
「うるさい!!!」
うるさいうるさいうるさい!猥褻な思考のノイズが熱くなった下半身から止めどなく送られてくる。いつもそうだ。昨日も、一昨日も、去年も、5年前もそうだった。僕が勉強をしようとすると、いつも何者かの攻撃によって正気を保っていられなくなってしまう。
僕はいつからか、何者かによって攻撃を受けている。僕は対策として、部屋の窓とカーテンを閉め、ラジカセを置いて攻撃電波を検知できるようにしている。そして、敵が現れた時のためのサバイバルナイフを勉強机の引き出しに隠している。攻撃は前触れもなしに急に僕の身体を侵す。集中して聴いてみるとラジオの鳴らすザアザアという音がいつもより少し赤く聴こえる。今日も何者かの攻撃が始まったのだと確信した。
僕はラジカセの再生ボタンを押して、何者かに向けてメッセージを録音したカセットを再生した。
「直ちに電波を止めるんだ。僕はお前等には負けない。直ちに攻撃を中止しろ。」
このメッセージを何者かに届けることで、僕への攻撃の有害無意味さを発信している。このメッセージは日本語、それをモールス信号にしたもの、思念言語(僕考案の発音でなく念によって伝える言語)の3通りで録音されたものだ。何者かが不特定多数、人類、非人類などあらゆる可能性を考慮すると当然の結果だ。僕はこのテープの出来に非常に満足している。オカセ。アノ女ヲ、オカセ。
くそッ!いつも通りしつこい!僕は何者かの攻撃によって一層、陰茎をたぎらせた。頭の中が侵される。僕はだんだんと姉の卑猥な身体のことしか考えられなくなっていく。
僕とも両親とも似ていない端正な顔立ち。美しい曲線の滑らかな胴。豊かに実った乳房。細く可憐な長い足はこの世の男を嬲るために生えてきたに違いない。
僕は電波の力に逆らうことができず右手で陰茎を強く握りしめた。ドクドクと陰茎が脈を打っているのが指先から伝わる。今日の攻撃はいつにも増して強力みたいだ。もしかしたら、何者かは今日、僕にトドメを刺しに来たのかも知れない。しかし、そんな理性的な判断も一瞬で立ち消え、陰茎を握った右手を上下に激しく漕ぎ始める。
ああ、犯したい!姉とヤりたい!24時間腰を止めずに毎日孕ませて姉の首を食い千切りたい!!あぁぁぁぁ!乾いている!今の俺は乾ききっている!姉の血を花の蜜をすすり血を飲んで肉で腹を満たし排泄したい!!!!!!!!
ビュッ!…頭の中のノイズを具現化したような濁った体液が手の上に吐き出された。次第に奪われた思考か蘇ってクリアになる。本来避けるべきだが、こういう荒療治で攻撃電波の影響を無効化することができる。その証拠にもうあの声が聞こえなくなっている。
手の汚れを着ているパジャマでてきとうに拭ってカーテンを開ける。とは言ってもこの部屋に窓はない。もちろん電波を弱めるためだ。しかも、それは両親からの提案だった。僕は喜んでその提案を飲んだ。両親も何者かと戦う僕を応援してくれての提案だろう。そう思うとより何者かとの戦いにも熱が入る。僕は絶対に負けるわけにはいかないんだ。
…続かない。
【反省点】
1人称より3人称の方が淡々としていてよかった。
人物紹介が長すぎる。
説明を抜いて事実としてそういう物があってそう動いている状況だけを淡々と列挙するとより良い気がしますね。