違法だから大っぴらにできないが、Web技術と倫理を捨てた人間のタッグが生み出す可能性をこの目に収めたい

はじめに

これから違法サイトをいくつか紹介してしまうのですが、これはあくまで知的好奇心による情報収集の結果であり、違法ではあるが面白いサイトを見つけてしまったために存在だけでも共有したいという気持ちで書いたものです。決して権利者に不利益を与えるためではありません。
私も一応こうやって個人ブログを制作しているweb制作者の端くれですので、「ブラウザ上でいったいどこまでのことができるのか」という、ある種マッドサイエンティストめいた倫理に背きつつも技術の限界を見たい!という好奇心には抗えないのです。

太鼓web

かつて太鼓の達人界隈を一世風靡したらしいサイト。

▲ 公式と見紛う画面だが「この非公式シミュレーターはバンダイナムコとは関係がありません。」の文字

権利者からの削除申請

再現度の高さとブラウザで遊べる手軽さで多くのユーザーを獲得した太鼓webだったが、バンダイナムコからの削除申請を以てgithub上のソースコードの公開の停止を余儀なくされ、同時にサイトの公開も完全に停止した。
…と思いきや、当時公開されていたコードをもとに個人が改良を行った様々なバージョンが現在もいくつか公開されている。
github上で確認した限りでは、制作者は中国人の学生の模様。

「音ゲー」でググって出てきた

ふと、音ゲーが遊びたくなって「音ゲー web」で検索したらヒットして知った。
何も知らなかった自分は、「たぶん、太鼓さん次郎のweb版的な有志サイトだろう」と思って開いたら驚き。愛くるしいマスコットのドンちゃんや見覚えのある和風のUI、ゲーセンで聞き馴染みのある太鼓のSEなど、完全に公式のリソースで再現された本物と見分けのつかない太鼓の達人そのものが眼前に現れた。

アレって誰が歌ってるの?

遊べる楽曲も公式で使われているであろうものばかりで、「本人の歌唱に似せて別人が歌っている謎のJ-POP」がいくつも収録されていた。俺バカだからわかんねえけどよお…こういうのって権利的な問題で本人歌唱バージョンが使えねえのか?でも曲によって本人歌唱の音源が使われてるのはいったいどういう違いなんだ?どうせ違法バージョンなんだから偽物の曲じゃなくて本物の曲に差し替えればいいのにと思わなくない。というか、おそらくCDとか出ていないであろう偽物バージョンの音源をどうやって入手しているんだ…。

話がそれてしまったが、自分が見つけた太鼓webは全部で3つほどで、公式の楽曲が大量に遊べるものと、ユーザーがアップロードした譜面が遊べるできるバージョンがあった。

モバイル対応

モバイル端末でも快適に遊ぶことができた。
違法サイトのくせに「手の行き届いた感じ」が開発者の純粋さを感じさせる。やってることは悪いのに。

▲iPad横向き
▲iPad縦向き


tsukiweb

TYPE-MOONのノベルゲーム『月姫』の同人版を勝手に移植したwebサイト。
原作のゲームエンジンであるNScripterのweb版ではなく、エンジンを作り直したものらしい。

海外ファンコミュニティでは有名

かつてメルティーブラッドにハマっていたとき、海外サイトをみていたら「メルティーブラッドの原作はここからプレイできます!」という感じで紹介されていたリンクで知った。月姫の入門用として重宝されている様子。
海外ではファンコミュニティで堂々と違法コンテンツについて話すから日本とは楽しみ方とか文化が違うなと思い知らされる。
また、コードはすべてgithub上に公開されている。

親切なノベルエンジン

CGはおそらくアップスケールされていてくっきり見やすく、音楽もオリジナルを丁寧に再現したきれいな別音源になっている。プレイの快適さも高く、2000年にリリースされた原作とは流石に比べようがない。

拡張されたオプション

おまけ

本家ではアルクェイドとシエルを攻略しないと遠野家√のキャラクターはギャラリーに追加されず、表√クリア後に秋葉たちが攻略対象の裏√の存在を知るという胸熱な演出があったが、web上ではそれがオミットされていてゲーム体験の価値が下がってしまっている。
他には、解放済みのルートをフローチャートで確認することができたり、Plus-Discを閲覧できる。

画面

アスペクト比を画面サイズ準拠、オリジナルと同じ4:3、16:9から選択できる。画面サイズによってはCGの一部が隠れてしまうため、アスペクト比を固定できるのは地味に嬉しい機能。

音楽

ゲームのBGMをオリジナルと、Ever Afterバージョン、月箱バージョンの3つのうちから選択できる。

エロ設定

なぜかエロを非表示にしたり、シーンの直前で警告を入れる設定がある。存在意義は不明。

言語設定

驚きの8言語対応!ファンコミュニティの広さを感じるグローバルさ。

モバイル対応

こちらもモバイル対応には力が入っている。
画面のスワイプで設定やログ画面が開けるようになっており、PCよりも快適さを感じる出来だった。
ただ、縦画面だとCGの一部しか表示されないのはいただけない。

軽い不具合

・文字送り

セリフの文章の際、文字送りが文末の"。"で終わり、続けてクリックすると文の閉じカッコ"」"だけが表示され、余計に1クリック必要になる軽微な不具合が1画面につき1回程度の確率で発生する。
細かなミスではあるが、余計な1クリックの違和感がクリアまでの数十時間も続くとなるとストレスとして蓄積されてしまうと思う。もしかしたら原作再現の可能性もあるかと思い確認したが、そのようなことはなかったので不具合。

▲"るっていうの?" ので文字送りが止まり次に “」” だけが表示される。これが頻発するのはストレス。

・BGMが2つ流れる

ゲーム起動時や設定項目を開いたときにゲーム中の音楽とは別に重ねてBGMが流れる時がある。
リロードすれば解決するが、明らかな不具合。

また、モバイルでは「タブが非アクティブになったとき音声を止める」設定が有効にも関わらず音楽が流れ続ける現象も発生した。


Fate/Stay Night (サイト名は特になし)

Fate/stay night[Realta/Nua]をベースに個人が移植したwebサイト。
こちらもリソースがgithub上に公開されている。また、Fateなどで使用されたノベルゲームエンジンの吉里吉里をweb上でエミュレートするためのプロジェクトをgithubで公開している。おそらくこのサイトはFateの移植ではなく、吉里吉里をweb向けにコンバートしたものかも知れない。
制作者のredditでの発言をみると、おそらく個人で制作したものらしく、tsukiwebと比較して技術力の低さがサイト全体から伺える。

Web小説のようなプレイ画面

tsukiwebや既存のビジュアルノベルとは異なり、スクロールで文章を読み進めていく珍しい形式。スクロールで文字送りをすることができ、セリフにスクロールするとボイスが流れたり、エフェクトが表示される。個人的にはかなりやりづらい改変。

また、ルート分岐のチャート画面があり、選択したチャプターからストーリーを見ることができる。この点はゲーム体験よりも読み物として楽しむことに重きを置いた機能と見られる。

簡素な設定画面

設定は非常に少なく、言語は日本語と英語のみ。バージョンの変更は何が変わるのかよくわからなかった。
「H」と書かれた設定があることから、原作の18禁シーンも移植されている様子。

モバイル対応

もとがそこまで凝った作りでないこともあり、モバイルでも特に不自由なく操作可能。PCでは設定画面を開く際に[ESC]キーを押す必要があるが、モバイルだと画面左上のめくれたページのような部分を押す。

また、操作はできるがプレイ自体はかなり難ありというのが個人的感想である。
iPadのsafariで開いたとき、セリフボイスが正常に再生されなかったり、立ち絵が読み込めていなかったり、プレイに最低限必要な部分が多く欠如していた。

Fateは公式のモバイル版がある

調査中に公式がスマートフォン向けにFateをリリースしているのを知った。
それもセイバールートは無料で遊べるらしい。なんて太っ腹。その他の凛・さくら√は各1600円で販売中。これからFateを始めたい人は公式アプリでレッツフェイト!
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.typemoon.fsn2&hl=ja


lain game

Serial experiments lainの再現サイト。PC向けダウンロード版も存在。ターミナルを意識したサイトデザインは作品の世界観に沿っている。
原作はあらゆるロードが長すぎてゲーム体験に著しいストレスを与えるため、ロード時間のかからない違法web版は一定の評価がある。対応言語は日本語と英語。

シンプルなhtmlで構成された簡易モード

原作のゲーム的な部分を大胆に削ぎ落とした「Simplified Version」がトップページから選択できる。Lainをシンプルなwebで再構成したもの。

比較

メイン画面

▲ゲーム再現

▲シンプルモード

再生画面

▲ゲーム再現

▲シンプルモード

オリジナルとの違い?

自分がプレイした上で感じた微妙な違和感なのだが、SEが微妙に異なっている気がする。また、グラフィックにも微妙に違和感がある。が、どれもプレイする上ではまったく影響のないものではある。

モバイル対応

こちらはまったくモバイル対応されておらずプレイ不可能。
PCではキーボード操作のためスマホでは操作不可能。というか、画面幅の調整すらされていない。

ただし、先述の「Simplified Version」であれば、ただのhtmlなので閲覧することができる。が、初見の人間がこのモードから始めてもなにもわからないと思うし、これは最早ゲームですらない。


Super Mario 64 PC port (OpenGL ES)

たぶんあるんじゃないかと思って調べたら案の定存在した「web移植版 スーパーマリオ64」。
リバースエンジニアリングしてWebGLに対応したものらしく、とてもきれいに映る。

まとめ

web移植となればアクションゲームなどよりも、再現しやすいノベルものに偏るのだと改めてわかった。
どれも海外で生まれたサイトだったが、どれも日本語をカバーしているのは原作リスペクトとしては最低限必要なものという意識なのだろうか。日本ユーザーは海外ほど多いとは思えないが、月姫とLainに関してはプレイする環境を整えるのが難しいこともあって比較的多くのユーザーがいるだろうと思う。おそらく一番人口が多いのは全盛期の太鼓webだと思うが。
月姫とFateは同じノベルゲームでありながら移植のアプローチが大きく異なっていて面白かった。前者は忠実なノベルゲームとして、後者は読み物として再構築されていた。開発者がどのような意図でサイトを作ったのか考えることができて興味深い違いだった。


最後に…

これらのサイトは利用しないように!!!

以上